« 2003年5月 | トップページ | 2003年7月 »

みなぎる力

03.06.18(水)
 研究室を訪ねてくれた学生のM君.いい色に日焼けしたおだやかな表情の中に満面の笑みがあった.参加者60名あまりが参加して行われた蒲郡オレンジトライアスロン学生の部でみごと準優勝したことをわざわざ報告しに訪ねてくれた.スポーツにはほとんど無縁の私であるが,このときばかりは彼の栄誉を心から讃えた.次はインカレに招待されており,今はそれが目標であり,それに向かって準備をしたいとのこと.彼の静かではあるがその語り口に充実感が漲っていた.1年の時は将来の進路のことで迷っていた時期もあったが,今は人間として着実に成長しつつあることが伝わってきた.今の仕事に就いて本当に良かったなと感じさせてくれた一日であった.

| | コメント (0)

姫路への旅

03.06.07(土)
 私が尊敬する仕事仲間・繁成剛(しげなり つよし)さんから依頼を受けて講演にでかけた.姫路駅からJR播但(ばんたん)線に乗り換え,各駅停車に揺られて数十分.その山間(やまあい)に彼が勤める大学がある.播但線は今時珍しい(?)単線で,駅ごとに列車がすれ違うために待ち合わせをする.沿線には中学や高校があるようで,それにオジサン,おばさん,子どもからお年寄りまで混じって車内はとても明るくにぎやか.そんな列車にゴトゴト揺られていると,遠い昔にタイムスリップしたようなそんな気分になる.
  講演には養護学校の教員の方々,施設にお勤めの生活指導員の方々,地元企業の方々,障害のあるお子さんとそのご家族の方々,その他多くの方々が参加され,熱心に聴講して下さった.学生さんも30名ほどアシスタントとして参加されていたが,皆とても明るくいい表情をしていた.それは紛れもなく,繁成さんの暖かい人柄と彼の仕事にたいする情熱が学生さん達にしっかりと伝わっているのだということがジンジンと伝わってきた.それからもう一つ,この大学を包み込むようにしている豊かな自然が紡ぎだしているせいもあるかも知れないとふと思った.緑豊かな山間には陽光と青空があり,そして気持ちの良い風が流れていた.

| | コメント (0)

ヒトの過ちをゆるすシステムづくりを

03.06.10(火)

 今,単身赴任先の愛知へ向かう新幹線の車中である.車窓から外をぼーっと眺めながら約1年前のことを思い出した.二度と味わいたくない苦い経験である.
  その日はちょうど長野県上田市での会議を終え,ながの新幹線で東京へ.いつもなら京浜東北線の各駅停車で横浜の自宅へ向かうのだが,少し疲れたので新幹線で帰ることにした.ホームでは発車ベルが鳴っている.ちょうど居合わせた新幹線に迷わず飛び乗った.列車は程なくして静かに滑り始めた.自由席はすでに満席であった.出口付近の通路に立つことにした.どうせ15分ほど乗れば降車駅の新横浜に着く.車窓からは東京のビルの窓の明かりが川のように美しく流れている.しばらくすると天井のスピーカから車掌さんのアナウンスが,「停車駅をお知らせします.つぎは名古屋...」.最初はアナウンスの意味がよく理解できずにただ聞き流していたのだが,徐々に事態のたいへんさが理解できた,私は思わず「降ります!」と叫んでいた.でも声にはならなかった.とにかく配偶者に電話しなければということで携帯電話をかけた.電話の向こうでは「何やってるの.すぐ帰って来なさい」の暖かい言葉.配偶者にも私がおかれている状況が読めていなかったのだろう.どうしていいのかあたふたとしていると,ちょうど目のすぐ前の壁面には非常停止ボタンがあった,私は思わずボタンに手をのばしそうになった.しかし,かろうじて手が止まった.そのままボタンを押していたら,翌日の朝刊に「大学教員,新幹線を停める」の大見出しが.今から思うと身が縮む思いである.
  新幹線の非常停止ボタンを押して列車を止め,ホームを脱兎のごとく駆けていったという「困った人」のことをテレビや新聞で何度か目や耳にしたことがある.なんて困った人なんだと人ごとのように笑っていたが,今になって思うとその人のその時の気持ちがよくわかるような気がする.
 私たちの周辺には新幹線に限らずいたるところで様々なテクノロジーがあふれている.私たちは否応なくその中で生活していかなければならない.でもそれらは,人にやさしいとはとうてい思えないシステムが氾濫しているように思う.自分をかばうわけではないが,ひとの過ちを許さない世界ができあがってしまっているような気がしてならない.その背景には自己責任という言葉だけが横たわっている.なんとかならないものか.ひとたび過ちを起こすとたいへんなことになるような場面では,二重,三重のチェックが必要である.例えば,空港で飛行機に乗るときのように,ゲートの自動改札機と空港スタッフによるダブルチェックのようなシステムが必要である.将来的には,列車の乗降口に電子的なゲートを設置し,電子切符との照合を行うシステムが考えられるであろうが,そこまでいかなくともすぐ思い浮かぶアイデアとしては,乗車口に一目でわかるように次の停車駅を表示する,大きめの数字を表示する,あるいは図形や記号の簡単な組み合わせを示し,乗車する人自身で切符と照合しやすくするなども一考の余地がある.間違いの起きにくいシステム作りに多くの人のアイデアを募れば必ずや人にやさしいシステムが見えてくるであろう.
 結局,その日は午後7時頃には横浜の自宅に帰り着く予定が,新横浜ー名古屋間を往復し,横浜の家にたどり着いたのは午後11時近くになっていた.唯一救いであったのは,新幹線の車掌さんが「あまりに気の毒」といって,片道の料金で許してくださったことである.人の優しさが心にしみた.

| | コメント (1)

見られている

03.06.08(日)
 自分自身のために始めた日記だが,意外にも学生が読んでいて,何人かの学生から「見ましたよ 」「次を楽しみにしています」とメールをもらったり声をかけられたりする.最近,この「見ましたよ」ということばにとても緊張を覚えてしまう.単身赴任の身,近くの大型スーパーマーケットでレジに向かおうとすると,そこには入学したばかりの新1年生がいる.思わず後ずさりし他のレジへ向かう.本屋さん,お寿司屋さん,電気屋さん,オモチャ屋さんなど,いたるところで学生のバイト姿を見かけてしまう.
 コンビニでバイトしている学生には私のその日の夕食の中身をすべて知られてしまっていると思うととても気恥ずかしく,声をかけられると思わずドキッとしてしまう日々が続きます.

| | コメント (0)

つまずいたっていい

03.06.07(土)
 将来の進路を真剣に考え大学経営学専攻から作業療法士を目指す専門学校に入り直した学生からメールをもらった.4月からの新生活が始まりあっという間に2ヶ月が過ぎ,今,心にぽっかりと穴が空いてしまっているという. そんな感じは君だけではありません.正直に言いますが,私にもそんな時期がありましたし,今でも時折そんな感じになります.私のホームページを見て,少し元気が出たとも書いてあった.なんだかこちらが救われたような気持ちになりました.ありがとう.
  自分にどうしようもなく自信がなくなったり,何もかもいやになったら,小休止するのがいい.そして心を許して話せる友に自分を語ればいい.けっして自分ひとりで抱え込まないこと.ジャズシンガー 綾戸千絵さんのCDを聞くことも忘れないように.ジワジワと元気が生まれます. 諏訪中央病院・元院長・鎌田実さんの「がんばらない」私はこの言葉がとても好きです. 相田みつをさんの「つまずいたっていいじゃないか,人間だもの」 この言葉に励まされながら日々生活している私です.
 元気出して 一緒に歩こ.

| | コメント (0)

« 2003年5月 | トップページ | 2003年7月 »