今日は都内・明治大学アカデミーコモンで開かれる浜岡原発現地報告と京大教員の小出裕章氏,ジャーナリストで作家の広瀬隆氏の講演を聴きに出かけました.
受付時刻のずいぶんと前に行ったのですが,会場前はすでに人で溢れ,1,192名収容できるホールに1,500〜2,000人あまりの人が集まり,結局,会場には入ることができませんでした.
入れないことに誰一人文句を言うわけでなく,立ち去りがたくいると,そこに京大の小出さんが登場し切々と訴えました.
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この国は「原子力発電所は絶対安全だ」と言ってきました.
皆さんもそう信じてこられたと思います.
私は絶対にそんなことはないと,機械だからいつかは壊れることがあると40年前から言ってきました.
(中略)
原子力に携わってきた人間として皆さんにたいへん申し訳ありません....
(聴衆:「そんなことはない」「あなたがあやまることではない」)
日本には26基の原発が稼働中.
本当に驚いています.信じられません.
いまの事態になってもなんで即刻停められないのか.
多くの人は,電気がほしいんだ,豊かな生活がほしいんだ,日本人の多くの考えです.
私はとても絶望しそうになりますが,ここに多くの人が集まり嬉しい.
力を振り絞って,これからも原発を停めるために努力したい.
(聴衆から大きな拍手,励ましのかけ声)
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(以上,小出氏)
小出氏の語りの中に,真の研究者としての謙虚さを感じ,強い信頼が生まれました.
私は原発推進派でもなく反対派活動家でもありません.ただ,これまでの状況を見ていると,地震学者の誰もが口を揃えて「必ず起こる」という東海地震・東南海地震,そしてその震源域にある浜岡原発のことを大いに危惧しています.
自分達の世代のことではなく,今,まさに接している若者達の未来,そして未来の子供たちに,私たちは決して大きな負の遺産を残してはいけないと思うのです.
原発を停めたら電気はどうするのだという意見が必ず出ますが,多くの賢人がその解決策をすでに様々な場で述べていますのでここでは触れません.
元GEの原発技術者の菊池洋一氏が言う「原発を永遠に停めろとは言わない,東海・東南海地震が起き,そして余震が収束するまででいいから浜岡原発をすぐにでも停めて欲しい」という言葉に真実が見てとれます.
「巨大システムの裏側に潜むシステム脆弱性・もろさ」を技術者としてわかっておられるのでしょう.
今日,明治大学構内に集まったほとんどの人達は原発反対活動家ではありません.その多くが一般の市民です.
ある婦人は「退職金で楽しみにしていた畑を購入し耕そうとしていた矢先,原発事故が影響で自分の夢はすべて奪われてしまった.それよりも,もっと心配なのは,孫の未来がどうなるのかだ」と.
ただ「むやみに怖がる」ではなく,「正しく恐れる」ことこそ今必要だと強く思いました.

写真は,明治大学アカデミーコモン前で会場に入れきれなかった人の前で語る小出氏(中央の背の高い人)