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くじけないこころを

 先日,社会学部3年生の学生W君からメールで取材したいとの申し込みをいただいた.老老介護における福祉ロボットの可能性について映像取材し,放送局が主催する大学生コンテストに応募したい,そのためにぜひ映像インタビューをしたいとのことであった.
 いまどきの大学生にしてはたくましいなと嬉しく感じると同時に,私は短いメールを送った.

 介護が専門ではないこと,
 どちらかと言えば,障がいがある人や高齢者の自立支援をテーマにしている
 介護現場に福祉ロボットを導入することに全面的に賛成しているわけではないこと
 それでもインタビューが必要なら面談のための時間を割くからメールをください
と伝えた.

 その後,追加情報をメールで送ったり,メールにあった携帯電話に留守番電話をしたが,まったく返信がない.
 それでは今回の話しはなかったことでと最後のメールを送ったところ,ようやくリプライがあった.

「返信が遅れてしまい大変失礼しました.介護の専門家ではないことはこちらの調査不足でした.重ねてお詫びします」と丁寧なメールをいただいた.

 このメールにたいして,私は次のようにメールを返信した.
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W君へ
メールを拝見しました.

 君は将来,ジャーナリストなどのクリエータを目指しておられるのかも知れません.
時折,それらの人々から取材を受ける機会がある人間としていくつかお伝えしておきます.
余計だと思われるところは遠慮無く聞き流して下さい.

1.情報は汗を流して手にいれるもの
 相手と信頼関係を築けていない映像は訴求力に欠けます.
 下調べを入念にすること,取材対象とコミュニケーションをとること
 これが基本です.

2.セレンディピティ
 幸運やチャンスは思わぬところに隠れているものです.
 一つのテーマにとらわれていると,実はその近傍にあるもっと重要なテーマが見えなくなる可能性があります.
 君は高齢者の介護現場に福祉ロボットをというテーマに関心があるようですが,もう一方で,介護を受ける人の気持ちや心理面に目を向けることも必要でしょう.
 そこには「家族に迷惑をかけたくない,なんとか自立したい,生きている実感がほしい」という気持ちが隠れています.
 他人とは異なる独自の視点をもつこと,それが新たな創造につながります.

3.4つの「あ」
 若い時に,ある人(故人)から与えられた言葉です.
 あたまにこない,あせらない,あてにしない,でも,あきらめない

 君の可能性が羽ばたく日をこころまちにしております.

 失礼いたしました.
 では (^_^)ノ
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 学生にたいするメッセージとしてはちょっと手厳しいのではないかという懸念は感じつつも,「負けるものか!」と『くじけないこころ』でもう一度体当たりしてくれることを,どこかで期待している...そんな今の気持ちです.

 いつか一人のジャーナリストが誕生することを夢見て.

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