マスターベーションについて

 これから述べることは、私の偏った思いや意見が含まれることを考慮のうえ、お読み下さい。

手を動かせない男性にとって最も困るのことは、性的生理の処理、自慰行為、いわゆるマスターベーションである。マスターベーション自体は絶対にしなければならないものではない。なければないで済むことであり、別段、生命に関わることではない。しかし特に男性の生理にとっては大事な事柄である。週刊誌などのゴシップメディアには、女性の中にもマスターベーションをするとある。
 マスターベーション、オナニーは自身の性器を刺激し、性的快感を得る為の行為であると私は理解する。では自分以外が間接的に行えば、性的行為、いわゆる日本風に言えば、SEXをするという行為になるのだろうか。
 見方を変えれば自分以外のものが間接的に行うのだから、自慰行為ではなくなってしまうから他人と行う性行為になってしまうのだろうか。
 それでは私のように手が曲がり、自由も利かず、股間に手の届かない者がマスターベーションをするとしたら、どのようにするかと言えば、誰かの手伝いをもらうしかない。しかしマスターベーションを含む類のものは、一般的に人知れず密かに行うというものという意識があり、「マスターベーションをしたいから、私の代わりにしてくれないだろうか」と手助けを受けることは女性ならずも、男性にも抵抗感が存在するように思う。女性の中には性的な卑猥な話を極端に嫌う人、極度に嫌悪感を表す人や言葉にする人がいる。
 自身の体の一部である性器を触れることは、女性であれば間接的ではあるが、排尿後の始末、生理の際の処理など、また入浴の際に洗う時くらいだろう。男性は排尿の際に直接に触れたいと思う。そしてまた男性性器は排尿器官だが性的興奮を感じたりした場合、勃起すると共に、勃起した際には性的快感を覚える部位である。その為におのずと男性は女性に比べ、性器に触れる機会が多いこともあってか自身の性器に触れたい、性的快感を得たいと思うこともあり触れる機会も多いようにも思う。
 私を含め、マスターベーションを他人の手を借りてでもしたいと思う者の論理(私の一方的で勝手な論理だろうが)からすれば、「たかが手を貸すだけなのだから・・・」と思う。では逆の立場からすれば、どのように思い、考えるのだろうか。ある女性の友人に意見を訊いたところによれば、親や兄弟に頼まれたとすれば可能かも知れない。と言った。また排尿介助をするように生理と思えばとも。
 私が思うに、男性の場合(中には女性にあるかも知れない)、射精を伴うマスターベーション、何らかの障害により射精を伴わないマスターベーションは、男性の生理的な現象と考えていると思うのだがどうであろうか。ある人は尿や便を催すように、マスターベーションも同じようなものと言った。
 では女性はマスターベーションについて、どのように考えるのだろうか。

 私は寝たきりの状態にあり、更には腕、指は曲がり、動かすこともできないこともできない。当然のことながら日常的に排尿、排便介助を受けている。そうするとマスターベーションをしたくなりどうにもたまらず、「してくれません?」かと口にしたくなる。しかし「なに言うの?」、「私はそんなことをする為にいるんじゃない」、「どうして私がそんなことをしなければならいの?」と言われるのではないかと思うと、精いっぱいの理性で口にすることを抑えている。
 もしも言葉にすれば理性のない奴だと軽蔑されるだろうが、介助者に事実「して欲しい」と依頼したことがある。そして手を添え、してくれたことも幾度かある。また私はできないと言う人、手でしてあげることができないと言うかのように、無言で手を陰部にもっていってくれる人、後始末をしてくれる人もあった。しかし依頼したことが元で、ぎこちない関係に陥った人もある。だからといって、そのようになったことを責めるつもりはない。マスターベーションがしたいから、」して欲しい」と言えば驚き、戸惑うのが当然の反応だろう。
 マスターベーションができないから「手伝いや自分の手の代わりをして欲しい」と思う以上、別段、女性である必要はないし、男性でも構わない。あえて理想を言うならば、私は男性である限り、女性の柔らかな手を借りたい。しかしそれではまるで手が動かせないことをいいことに、風俗産業まがいのことをさせている。と思う人が多いだろう。もっとも男性は理解して貰える人は多いだろうが、女性の中にも理解してくれる人も皆無ではないと思う。ただ女性はマスターベーションや男性のように自身の性器に触れたい、性的快感を得たいと思うことは少ないだろうし、頭では理解はできても、生理的には理解は難しいだろう。しかし理解して欲しい。それが切なる希望だ。

今、改めて考えると、なんとも情けなく、悲しい気持ちになる。なぜなら、寝たきりの状態で自分の性器も触れることもできないうえに、マスターベーションをしたい、性行為をしたいと思うことが頭から離れないからである。性欲はどのような状態や状況になってもなくならないことは、ごく当たり前のことではあるが、私には大きな荷物になっている。

最後にマスターベーションやマスターベーションの介助、代行に関する貴方の思いや意見をお聞かせ下さい。

意見やメッセージを書き込み、論議の場にしていただければ嬉しく思います。